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真空管バッファー Buffer2
テクニカルノート

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Red Iron AmpsのBuffer2は、デジタルのギターアンプシミュレーター専用に開発された真空管のバッファーアンプです。

Kendrik Ampから独立したギターアンプビルダーであるPAUL氏によって完全ハンドメイドで作られるこのBuffer2は、ギターサウンドやパーツについて知り尽くした技術者にしか作れないマジックトーンが存在しています。

PODやFRACTALなどのアンプシミュレーターを、リアル真空管アンプにぐっと近づけるこのBuffer2の魅力を技術サイドから探ってみます。



ギターにとってオイシイ倍音構成の変化と
コンプレッション感の秘密

RED IRON AMPS BUFFER2

入出力コネクター
前面 フォン入力×2(L/R)
背面 フォン出力×2(L/R)


コントロール
前面 OUTPUTレベル ×2(L/R)
側面にACインレットAC100V対応です。



至ってシンプルな2chバッファーアンプです。回路がシンプルなだけに一つ一つのパーツが持つ音がはっきり現れます。選び抜かれたAllen Bradleyの抵抗、 Wimaのフィルムコンデンサ、Mallory の電解コンデンサ、これらのパーツがポイント・トゥ・ポイントでアッセンブリーされ、配線材もテフロン被覆の銀線を使用し、回路設計だけではないところでのサウンドデザインがかなり効いています。


ボリューム位置が最大で約+14dBのゲインとなっており真空管ブースターとしても使用できます。ユニティーゲインとなるのはつまみ位置9:00の辺りで絞り切りは-∞dB(音量=0)となっています。ボリュームの変化特性はリニアテーパーを採用しているようです、ですので通常使用する範囲でのボリュームがとり易くLRの音量の合わせも楽だと思います。このOUTPUTレベルはバッファー回路を通過した後に位置しており、真空管自体は常にホットなゲインを持って動作しており、このボリューム操作で音量を調整しバッファーとして機能させています。そのゲインにより真空管特有の倍音や軽いコンプ感を生み出します。


コントロールもボリュームのみとこれまたシンプルの極み。しかしBUFFER2には知る人ぞ知るサウンドメイキング術があるのです。PODやFRACTAL AUDIO AXE-FX2などのデジタルアンプシミュレーターのサウンドに、オーガニックな真空管アンプサウンドとサスティーンを加えるために開発されたBUFFER2の能力を十二分に引き出すためにもこの事を知っていただくと必ずお役に立てると思います。

その方法は、BUFFER2にどれくらいのレベルで入力するかをコントロールすることです。デジタルアンプシュミレーターと組み合わせて使う事を想定されていますのでアンプシュミレーターの出力レベルを操作する事でコントロール可能です。入力レベル(前段に機器の出力レベル)を下げ、BUFFER2のOUTPUTを上げればクリーンな方向へ、逆に入力レベル(前段に機器の出力レベル)を上げ、BUFFER2のOUTPUTを下げれば倍音が豊富で真空管のコンプ感も加わるウォームでオーガニックなトーンへ、シフトします。さらに信号が大きくなれば電源電圧の制限によってクリップ(オーバードライブ)しより強い歪みになります。ギターアンプのGAINとMASTER VOLUMEの関係と同じです。

BUFFER2にどれくらいのレベルで入力するかを前段の機器の出力レベルをコントロールすると、倍音の量や構成が変化しサウンドに表情が付いてきます。倍音が変化すれば波形も変化する訳ですがこの波形からも真空管特有の特徴がうかがえます。


【図1】


オーバードライブなどに見られる【図1】は振幅が電源電圧の限界まで達した事でつぶされる、またはダイオードなどの素子で切り取られる、そのような過程で作り出されます。そのためクリップレベルに達したところで急に歪が増加するので倍音というよりはニュアンスとして“歪”と表現すべきサウンドになります。「真空管アンプをイメージした非対称ダイオードクリッパーサーキット」とか聞いた事ありますよね?これは振幅方向の非対称を作り出し偶数次倍音を多く引き出そうとしているのですが、たしかに歪み方はマイルドになりチューブアンプに近づきます。しかしこれだけでは真空管アンプのサウンドにはならない事が次の事でお分かりいただけると思います。


【図2】

BUFFER2は【図2】のような波形となります。非対称は非対称ですが、振幅方向に対しての非対称ではなく、波形の上下で幅が変化するつまり時間軸に対して非対称波形となり、同じ非対称歪といっても大きく異なる性質を見せます。このような波形の変化は増幅特性が直線ではなく曲線を描いている事から生まれます。三極管のA級バイアス回路の場合増幅特性が二次関数的なカーブとなりますが一部だけ見ると直線でリニアな増幅が可能です、振幅が小さい時にはこの直線領域で動作しますのできれいな増幅ができる訳ですが、扱う信号レベルが大きい場合は増幅特性の曲がった所まで使う動作となり信号は歪ます。電気的には“歪”ですがこの時点では音楽的には“倍音が増える”といったニュアンスです。この時、振幅の上下で違うカーブに沿った増幅が行われるため波形の上下で幅が変化する現象が起こります。これはギターにとってはとてもオイシイ現象で、倍音構成の変化、独特な軽いコンプレッション感が得られ“真空管ぽさ”はここから生まれています。

デジタルアンプシミュレーターもその部分を研究しプログラムし演出している訳ですが、本物のチューブアンプを弾き倒してきた人にはもう一歩満足できないようです。BUFFER2をその後ろに接続し、お好みに合わせてチューニングし本物の真空管のアナログサウンドを掛け合わせた、表情豊かなリアルトーンを是非お試しください。






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