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Umbrella Company The Fader Control 導入事例

株式会社スクウェア・エニックス(ゲームソフト販売・開発会社)
サウンド部サウンドエディター/レコーディングエンジニア
五十川祐次様
http://www.jp.square-enix.com

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★今回はThe Fader Controlを導入していただきまして、ありがとうございます。まずは導入のきっかけについてお聞かせください。

– 2012年に本社がこのビルに移転した時にこのスタジオも造りまして、その時には以前からフィジカルコントローラーとして使っていたAVID ICON D-Controlをこちらに移設して使っていましたが、AVIDがD-Controlのサポートを終了することになったことがきっかけで、スタジオの改装とコンソールの入れ替えの話が上がってきました。

移転当時は、録音もミックスもできる全く同じ仕様の部屋を2つ作って作業をしていましたが、今回の改装でSOUND STUDIO 1ではDolby Atmos for homeにも対応できるスタジオに、作業の割合は録音が多かったので、もう一つのスタジオ(SOUND STUDIO 2)は録音に特化した仕様にしました。

録音がメインのSOUND STUDIO 2には、まず小型のアナログコンソールを探しはじめたんです。日本のMAは独特な仕様で、例えばトークバックスイッチはパラレルにする必要があったり、CUEランプが必要だったり、ブース側とのコミュニケーションを取るためのシステムを入れないとならないのですが、小型のコンソールでは拡張性も限られていて、機能を備えたものだとかなり高額になってしまうので、予算を考えるとなかなか希望に合う仕様のものが無かったんですね。

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★当初はアナログコンソールを検討されていたけれど、理想的なものが見つからなかったのですね。

– そうですね。選定している時に、システム設計をしていただいた方からAD/DAコンバーターのDAD AX32とモニターコントローラーのCB Electronics TMC-1 Pentaを組み合わせる使い方を紹介してもらったんです。この組み合わせによって、モニターシステムとしてはもちろん、インプット、インサート、アウトプットと3か所それぞれでゲイン調整ができたり、マトリクスも自由度が高く組めたり、これがあればやりたいことが実現できると思いました。

オーディオインターフェースとモニターとコミュニケーションのシステムはこれで決定で、マイクプリアンプは今まで使っていたものを使うことにしまして、あとはフェーダーが揃えば快適に作業ができると思いました。

このスタジオの収録作業では、フェーダーを使ったレベルコントロールがとても重要なんです。Pro Toolsの画面上でリアルタイムにコントロールするのは不便で現実的ではないので、アナログのスライドフェーダーを導入しよう、ということになりまして、パッシブのフェーダーユニットを自作で作る、または特注で作ってもらう、既製品を導入するなど案は出たのですが、以前からなんとなく知っていたThe Fader Controlは使える仕様なのかと思い、まずWEBサイトで機能を確認したら作業で使うには問題の無い仕様で、スペック上で確認したS/Nも非常に良くて、もしかしたら使えるのかもしれないと思いました。

それでまずはデモ機をお借りしました。

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★試されて、どう感じられましたか?

– 録音した色んな素材で確認してみましたが、音の劣化もほぼ感じられなかったので、これは良いかも!と思いましたね。


★S/Nもスペック通りの印象でしたか?

– そうですね、実際にケーブルを抜いて、IN-OUTをダイレクトで接続したのと比較したり、シビアなチェックを何度もしましたが、問題無かったですね。今まで使ってきたカフボックスを使うと、必ずハイ落ちだけでなく、ローも落ちてしまうんですが、The Fader Contolは全く劣化を感じませんでした。

通常のMAスタジオはブースにカフボックスを設置するのが前提だと思いますが、ゲーム制作では特に必要ではないんですね。使っていた頃は、演者さんがカフを途中までしか上げていない状態で録っていたり、勢いよく上げた時には、そのノイズまでマイクが拾ってしまったり、不都合なことも起きていたので使わないようになりました。

現在は収録時の音質面もシビアに考えて、マイクプリアンプもブース側に置いて、ケーブルも線材を厳選したものを最小限の長さに抑えてワイヤリングしていますが、フェーダーにThe Fader Controlを使うことで、劣化せず音質を保ったまま録れると思いましたね。

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★フェーダーの操作感はいかがでしたか?

– フェーダーはすごく軽くて良いですね。それまではモーターの入ったフェーダーの重たくゴリゴリした感じに慣れてしまっていましたが、The Fader Controlは最高に良いです。使っていて何のストレスも感じません。


★他社製のスライドフェーダーで候補になっていたものはありますか?

– 海外のものですが、気になっていたのがドイツのコンソールメーカーのもので、高性能でしたがかなり高価でした。あとはビンテージのフェーダーを探してみたりしましたが、バランスに対応したものはトランスの色が付いてしまったり、音質面やガリなどメンテナンスを考えると理想的ではないんですね。

あと、例えば小型のミキサーを使った場合にはクロストークが気になってきてしまいますが、The Fader Controlは2chしかないし、全く気になりませんでした。

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★その候補の製品は試されたのでしょうか?

– 最初にThe Fader Controlを試して、もうこれに決定!となったので、試していません。


★最終的にThe Fader Controlの採用を決めたポイントは何でしょうか?

– 一番は音質ですが、業務を行う上でメンテナンス費用を抑えることも大事なんです。アナログコンソールを入れるとしたら、メンテナンス費用も嵩んでしまいますが、The Fader Controlはガリが一切起こらずメンテナンスフリーなんですよね。そして価格が圧倒的に安いこと、あとは「MADE IN JAPAN」ということですね!ここは重要でした!

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★ありがとうございます。導入していただく前に、MUTE機能についてのリクエストをいただきましたが、その理由は?

– ここでナレーションを録る作業では、レベルのコントロールだけでなく、ミュートの切り替えも頻繁に行いたいので、MUTEの機能が必要になりますが、The Fader ControlをINPUT MODEで使う場合、FUNCTIONボタンを押しながらMUTEボタンを押さないと利かない仕様になっていますよね。

作業では例えばセリフの掛け合いをする時などに頻繁に切り替えをするので、2つのボタンで操作するのが使いにくいと感じて、これをMUTEボタンだけで切り替えできるように、またMUTEの切り替えのフェードタイムをもう少しだけ緩くして、ON/OFFの切り替えが聴感上でも気にならないようにリクエストをしました。

*この機能は新ファームウェアーで、通常モードとダイレクトMUTEモードを切り替え可能となりました!


★便利に感じた機能はありますか?

– INPUT MODEのモノラルモード(モノラル信号の入力に対して、フェーダーを通過した可変レベルの信号と、入力されたままの固定レベルの信号を同時に出力できる機能)は便利ですね。普段はこのモードで使っていて、チャンネルAのアウトからフェーダーの処理をした信号を録っておいて、チャンネルBのスルーアウトはバックアップ用に録っています。


★以前の環境では、どのようにレベル調整をして録っていたのでしょうか?

– 以前は録⾳時にレベルコントロールする時はAVALON DESIGN AD2044などのコンプレッサーのスレッショルドやアウトプットレベルで調整していました。声優さんは声量があって、音楽録音用のマイクだと音圧が強すぎてうまく録れないんですね。マイクもマイクプリもそれを考慮して選択する必要があったのですが、それでもマイクプリ側でコントロールするとクリップしてしまうので、コンプレッサーのインプットレベルで調整していました。

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★収録中はフェーダーでどの程度のレベルコントロールをするのですか?

– 常に調整していますが、声量の強弱が激しいのでコントロールの幅もかなり広いです。例えば、人が斬られるシーンの断末魔の叫びでは、かなりの声量になるので、それを予測してフェーダーを-20dBくらいまで下げて、その直後の捨て台詞ではフェーダーを突き上げ(+10dB)まで戻したり、かなり激しいコントロールをしています。それでも完璧にできないこともあるので、その場合のためにチャンネルBのアウトからバックアップも録っておいて、後でレベル調整のやり直しができるので、安心して作業ができています。


★仮にバックアップで録った素材を使う場合は、リアルタイムにレベルを調整した素材と比べて、どのような不都合が起きるのでしょうか?

– バックアップの素材はレベルを一切調整していない信号なので、小さい声はレベルも小さいまま録れてしまい、エディット時にレベルを上げると、聴感でも分かるくらいS/Nが悪くなってしまうんです。

他の現場では、マイクプリのゲインの設定を決めて録ってしまえばOK、という方もまだまだ多いと思うんです。録った後でコンプで調整すれば良いから、という考えで強制的にレベルを揃えたデータが時々上がってきたりしますが、当然ながら音質はすごく悪いんです。大きな声にはコンプで潰れてしまっていて、小さい声はS/Nが悪いんです。

究極的な方法は、録音時にリアルタイムにレベルをコントロールすることだと思うので、そこには拘るようにしています。

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★2台導入していただきましたが、導入後、作業をしてみて感じたことはありますか?

– The Fader Controlを使うようになってからは、思うようにレベルコントロールができるようになって、録った後の調整作業が圧倒的に少なくなったことで、作業効率が劇的に上がりました。

最近はゲームの進化と共に一つのゲームのセリフ量が日に日に増えていて、現場もいかに効率的にデータを作るか、ということを常に模索しているので、収録の段階で全体の改善を図ることができたと感じています。


★作業では、ステレオで使うことはあるのでしょうか?

– 音楽を録ることもあるので、その場合はステレオのモードに切り替えて使いますし、バイノーラル録音の頻度も上がっているので、その時もステレオで使います。このスタジオでの生楽器の収録は、弦楽器や民族楽器も多いですね。

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★最後に全体のシステムを更新されて、作業的な効率化について感じられたことはありますか?

– 今回機材を大幅に入れ替えたことで、とても快適に感じられたところがあって、録った素材のS/Nが劇的に向上したことなんです。無音の状態で録音した信号は、Pro Toolsのメーターで見ても全く振れないんです。AD/DAのシステムもフルバランスになっていて、MANLEYとかマスタリングスペックの機材も使っているので、全体的にS/Nがかなり良くなっているんですね。

以前のシステムでは、波形とメーター上でもノイズが確認できたので、STLIP SILENCE機能を使う場合に波形を綺麗に切れなかったんです。でも今のシステムでは、手間を掛けずに一発で切ることができるようになりました。これだけでもかなりの効率化が図れています。仮に高価なアナログコンソールを導入していた場合でも、おそらくここまでのS/Nの良さは実現できないだろうと思います。


★お話をお伺いして、音質、機能、操作感など、それぞれシビアな判断基準でThe Fader Controlを選んでいただき、作業の効率化に貢献できて嬉しく思います。本日はお忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました!

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今回のスクウェア・エニックス様のご要望により実現された「ダイレクトMUTEモード」は、The Fader Controlの新しいファームウェアに含まれています。

誤操作防止のために用意しているF.KEYですが、オペレーションの際に、逆に邪魔になるケースがあるとの事でF.KEYの機能を解除したいとうリクエストをいただき実現しました。積極的にMUTEを操作する場合にはモードを切り替えて使用できるようになります。

「ダイレクトMUTEモード」は標準のモードから切り替えて設定することが可能で、一度設定してしまえば、次回起動時にも「ダイレクトMUTEモード」で起動します。

・FKEY/REFボタンとSCALE/DIMを押しながら起動 → MUTEのFKEYを解除しないデフォルトのモード
・FKEY/REFボタンとMUTEボタンを押しながら起動 → MUTEのFKEYを解除する=ダイレクトMUTEモード

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