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BTL-900,モニターヘッドホンアンプ,評価,レビュー,リファレンスモニター,スタジオモニター

 

ジャズからロック、ポップスなど幅広い作品を手がけているレコーディングエンジニアの檜谷瞬六さんに、制作作業におけるモニターの重要性や求められるヘッドホンモニターについて、そしてスタジオ・リファレンスの為に開発されたヘッドホンアンプ Umbrella-Company BTL-900についてお話をお伺いました。

 

レコーディングエンジニア 檜谷瞬六さん
プロフィール

BTL-900,モニターヘッドホンアンプ,評価,レビュー,リファレンスモニター,スタジオモニター学生ビッグバンドの名門早稲田大学ハイソサエティーオーケストラでサックス奏者、バンドマスターを務め山野ビッグバンドジャズコンテスト3連覇を含む数々の受賞に貢献。1999年単身ニューヨークに渡り、SAE New Yorkにてレコーディングを学ぶ。帰国後、2002年prime sound studio form設立に参加。数々のプロジェクトに携わった後、2011年独立。現在はstudio MSRを拠点にフリーランスエンジニアとして活動中。アコースティック録音の名手として知られ、数多くのジャズレコーディングを手掛けている他、TAKUYA,Derailers,中田裕二等の男性ロック系アーティストや、supercell,やなぎなぎ,初音ミク(Mikunopolis in LA,大感謝祭)等の人気アニメ系アーティスト、稲垣潤一、マリーン等の有名ベテランアーティストに至るまで幅広く手掛け、数多くのクリエイターからの信頼を得ている。

 

★エンジニアが求めるヘッドホンモニターについて

1.ヘッドホンモニターの役割:モニタースピーカーの環境が整っていない部屋でのモニターとして

モニタースピーカーの環境が整っていない場所でのモニターの助けとして、部屋の影響を受けないヘッドホンモニターはとても有効です。BTL-900とMDR-CD900ST(BTL-MOD)の組み合わせは、このスタジオの調整されたモニタースピーカーと比較しても、正しいモニターバランスが取れていて、とても良い印象です。位相感がかなり良くて、歪み感もここまで感じられないのは珍しいと思えるくらいです。

モニター環境によっては、低音から高域までのバランスを確認する時に、例えばキックやスネアのチューニングが変わって聴こえてしまったりといった様に、音楽の要素が微妙に違って聴こえてしまう事もありますが、このBTL-900のセットはどの楽器もほぼ正しいバランスでモニターできると思います。


2.ヘッドホンモニターの役割:バランス、ステレオイメージの確認

BTL-900,モニターヘッドホンアンプ,評価,レビュー,リファレンスモニター,スタジオモニターまた、逆にモニター環境が整ったスタジオでのヘッドホンモニターの役割は、主に微妙なバランスの確認とステレオイメージの確認です。この部分はスピーカーでは少し曖昧に聴こえてしまうところがあるんです。ヘッドホンでは音像の見え方、PANの広がりや音量バランス、音の立ち上がりやスピード感をシビアに確認できます。バランスという面でいうと、たとえば音量は出ていなくても、音の立ち上がりが速い楽器はヘッドホンで聴くと前に出て聴こえてしまいます。この場合、コンプレッサーを掛けてボリュームを下げずにアタックを調整して、他の楽器とのバランスを取ったりします。

ステレオイメージの調整としては、例えば弦のカルテットが入っている曲で、バイオリンのPANの振り具合を100%振り切っていても70%くらいでも、スピーカーでは微妙で判りにくいんです。これがヘッドホンの場合は、明らかに振り過ぎていることが判ります。その場合バランスが取れるようにPANを見直したり、またPANを変えずに音量やEQで調整をします。

こういった要素における細かい部分の確認はスピーカーだけだと結構難しいんですね。良いスピーカー環境がある場合でもこれらの部分はヘッドホンでも確認をします。

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★MIXの作業におけるモニターの重要性

このスタジオではPMC IB1SとYAMAHA NS-10M STとラジカセと、3つのスピーカーを使っていますが、MIXではそれぞれを聴きながら音の鳴り方を揃えていくようにしています。IB1Sでは聴こえるけど、NS-10M STでは聴こえないローとか、そういう要素を調整していきます。勿論、スピーカーのポテンシャルはそれぞれ違うので、違って聴こえるのは当たり前ですが、基本的に楽器のチューニングやピッチ感だったり全体の重心の鳴り方とか、スピーカーやヘッドホンで聴いても統一性が取れているのが優れたMIXだと思います。

逆にその統一性が取れていないMIXは詰めが甘いということがわかります。そういう意味でも作業をする上でモニタースピーカーの数は多い方が良いし、特にヘッドホンについてはスピーカーでは確認できない情報を持っているので、重要だと思っています。

ただ、ヘッドホンで確認する場合には、その環境が信頼できるものでないと、間違った方向に修正してしまうので、モニタースピーカーと同じで、ヘッドホンモニター自体が正しくチューニングされていることが特に重要です。

例えばMDR-CD900STのように定評のあるヘッドホンであれば、ある程度フラットに出来ていると思って良いと思いますが、それでもバランスが崩れて聴こえる時は、ヘッドホンアンプだったりDACだったり、ヘッドホンの前段側に問題があると思います。またヘッドホン自体のコンディションも悪くなっているケースもありますね。

悪いMIXを良く聴かせてしまうようなモニターは自然とジャッジが甘くなってしまいますし、もちろん良い時は良いとわからないといけません。
良い物は良く、悪い物は悪く表現してくれるのが優秀なモニターですね。

 

★ヘッドホンモニターとしてのBTL-900について

このモニターで聴いて良い音をしていれば間違いなく良い音になる、という基準になりえるモニター環境で作業をすることが一番重要だと思います。そういう点でBTL-900とMDR-CD900ST(BTL-MOD)の組み合わせは、正しいモニター環境を持っていない方にもとても助けになると思います。

今までもヘッドホンは色々試してきましたが、MDR-CD900STをここまで良い音で聴くことができたのは初めてですね。今までMDR-CD900ST聴いてきた中で一番良い印象です。

サイズも持ち運びしやすい大きさで、入力もXLRのバランスが付いてスタジオで使えるし、仕様的にも問題ないですね。

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★オリジナルMDR-CD900STとMDR-CD900ST(BTL-MOD)の聴感の違い

オリジナルの(シングルエンドの)MDR-CD900STで聴いてもバランスは良かったんですけど、4ピンXLRのMDR-CD900ST(BTL-MOD)で聴くことでヘッドホンがワンランク上がったような、キャラクターは変わらずにレンジが広がって音の生命力が出て、オーディオ的に良くなりました。

オリジナルのMDR-CD900STの場合は、センターが引っ込んでサイドは広がってしまうんです(※1)。ヘッドホンに対する不満の要因の一つはそこにあると思います。

センターの定位は本当に重要で、歌、キック、スネア、ベースとか、音楽の芯になるセンターのバランスがしっかり取れていないとダメなMIXになってしまうんです。BTL-900とMDR-CD900ST(BTL-MOD)の組み合わせで聴くとセンター定位や位相感が正確に確認できます。

あとは、コンプレッサーを掛ける場合、MDR-CD900ST(BTL-MOD)で聴くと、どのように潰れているかというアタックのスピードを正確に再現できています。これが最初から潰れて聴こえてしまう場合、実際には潰れていないものも潰れて聴こえてしまっているので、判断ができないわけです。

 

※1:オリジナルのMDR-CD900STは3芯のケーブルで結線されており、グラウンドがLR共通となっているために(0Vであるべきところに電圧が発生してしまうことで)互いのチャンネルに影響してクロストークが発生する。ヘッドホンではそれが逆相で干渉してしまうため、センター定位は干渉して打ち消し合ってしまい、サイドは逆相で広がってしまう。

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★ミュージシャン用モニターとしてのBTL-900

ミュージシャンのモニターでも重要なことで、ドラムでもギターでもベースでも、どう弾くと良い音がするのかを理解して演奏しているので、優れたミュージシャンはモニターしながらタッチを微調整するんですけど、それがある一定以上でサチュレーションして聴こえてしまったりすると、タッチの加減が判らなくなるんです。

あるドラマーの方が言うには、アタックが潰れて聴こえるとタイミングが計れなくなるし、サチュレーションしてしまうと叩く強さも解らなくなるようなんです。ギタリストもヌルい音に聴こえるモニターの場合はタッチが強くなってしまうし、カタい音をしていれば逆に弱くなってしまうようです。

そういう点では、この組み合わせはアタックがクリアに確認できることでタッチが明確に解るし、歪み感が極めて少ないので、すごく良いと思います。

ボーカルを録る時でも、BTL-900を使うことで音の立ち上がりが確認できるとオケの音程やリズムの認識がしやすくなると思います。良いパフォーマンスを引き出すには、良いモニターを返してあげることが不可欠だと思います。だからレコーディングおけるヘッドホンモニターの重要性はすごく高いと思いますね。

 

★MDR-CD900ST以外のヘッドホンで聴いた印象

BTL-900をMDR-CD900ST以外のヘッドホンで聴くと、色付けされているヘッドホンは色付けされたまま聴こえる印象です。フラットでレンジの広いヘッドホンアンプなので、ヘッドホン側で色付けする必要が無いんだと思います。そういう点でも、MDR-CD900STは良く作られたヘッドホンだと改めて感じました。今まではMDR-CD900STは音がにじんで解像度が低い印象でしたが、BTL-900で聴けばどのタイプの音楽を聴いても、きわめてミックスの意図に近いフラットな状態で聴けると思います。

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