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【mid-fi electronics】は米国ニューハンプシャー州の「超個性派ブティックペダル・メーカー」。サイケデリックなバンドサウンドでカルト的な人気を誇るバンド“MMOSS”のギタリストでもあるDoug Tuttleが設計から生産まで全てを手がけるワンマンカンパニーです。
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【mid-fi electronics】の魅力はずばり「サイケデリックな浮遊感」だと思います。自らもミュージシャンとして活躍しているDougのアーティストとしての世界観や音の肌触りがどの作品にも感じられます。代表作でもある「Pitch Pirate」や、幻のノイズメイカー「Random Noise Generator」などのフリークアウトしたイメージから変態系ペダルの代表的メーカーとも捕らえられることも多いのですが、実際にはそのフリークアウトした感覚と実践的なサウンドメイクが不思議と両立した作品も多く、ハイファイでもローファイでもない「ミッドファイ」といったネーミング通りの絶妙な立ち位置に感動すら覚えます。

 

Red Hot Chili PeppersのギタリストJosh Klinghofferは、2011年のシングル曲「The Adventures of Rain Dance Maggie」(https://www.youtube.com/watch?v=RtBbinpK5XI)のギターソロでmid-fi electronicsのClari(not)Fuzzを使いまくり、その不思議にベンドされたサウンドが話題になりましたが、一躍脚光を浴びてもmid-fi electronicsの製品は大量生産されることは一切無く、今でもツアーやミュージシャン活動の合間を縫って台数を限定して生産され続けています。

 

 

そんなmid-fi electronicsから突如発表された「Overdrive」というストレートなネーミングのギターペダル。時期を同じくして発表されたDoug 初のオリジナル・ソロアルバム「Doug Tuttle」。この2つの作品には共通したフィーリングが宿っており、どちらも素晴らしい出来栄えでしたので少しだけ紐解いてみたいと思います。

 

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MMOSSの時からそうだったと思いますが、Dougさんは自分の演奏ではほとんどmid-fi electronicsのエフェクターは使用していません(笑)。1960年代のフィルモア周辺のサイケデリックバンドみたいに基本的にはアンプのサウンドを重視しています。彼は主にテレキャスターを使用していますがほとんど手元のボリュームで音作りをしているのではないでしょうか。ただしその出音にはかなり癖と個性があり、タイムスリップしたかのようなサイケ感覚がヒリヒリと伝わってくるものです。今回のソロアルバムでも聴くことのできる飽和感の強い歪みサウンド、トレブリーで高域成分が揺さぶられるような”Bitter Sweet Tone”は彼のトレードマークのようなギターサウンドです。
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オリジナル・ソロアルバム「Doug Tuttle」を聴いた後に、mid-fi electronicsの新作ペダル「Overdrive」を弾いて見ると、なんと!同じ感覚をもった少し浮遊感のあるサイケデリックな歪みサウンドが飛び出したので驚いてしまいました。そのサウンドは決して派手で毛羽立ったサウンドはなく、一定の速度で淡々と続いていくような抑制の効いた歪みサウンド、ただし飛び出せるときには一気にフリークアウトできるような幅を持ち合わせています。また、手元のボリュームに驚くほど反応します。ここまで手元で変化させられるオーバードライブペダルはそうは無いと思います。ストラトでは手元で絞るとアルバム「Doug Tuttle」で聴けるようなトレブリーなサイケポップサウンドになり、アルペジオを弾くとたまらないサウンドです。少し歪みを強くすると同じアルバムの”Better Days”で聴けるようなダークなブーストサウンドになりますし、フルアップの状態で”Turn This Love”の長尺のNeil Youngのようなギターソロで聴かれるようなサウンドになります。またどのサウンドも何に似ているといった表現ができない個性的なサウンドではないかと感じました。ピッキングの強弱への反応もすこぶる良く、微妙な感情表現がトーンに伝わりやすいよう設計されています。
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周波数レンジを狭めよりコンプレッション感のあるサウンド~より高域から低域までオープンなサウンドまでゲインノブで面白いほどサウンドが変化します。

後でDoug本人に尋ねてみたところ、やはりソロアルバムの録音ではほとんどエフェクターを使用していないとの事・・・ははは。やっぱり。しかし彼は自作の真空管ギターアンプを使用していて、その自作アンプのサウンドこそが彼のトレードマーク・サウンドらしい。そして今回の新作ペダル「Overdrive」は、その自作真空管アンプのサウンドをエミュレートするために作ったとの事でした。ライブなどでどうしても用意されたギターアンプ(Twin Reverbなど)を使用しなくてはならないときのために開発をしたようです。ものすごく自分用でこういうのは僕は好きです(笑)。完成したトーンは完璧に彼の理想の歪みサウンドにチューニングされているらしく、やはり、どうりで共通のトーンを持っているわけです。

彼自身よほどの個性を表現できない限りオーバードライブというジャンルの作品を作るつもりは無かったらしいです。今回はクリッピング・セクションに独創的なアイデアを採用し、このサイケデリックな歪みサウンドと、他のペダルには無いほどの”スーパータッチセンシティブ”を実現できたようです。入力感度によってクリッピング回路のスレッショルドを変化させるオプチカルコントロールが設計に採用されているようです。1950年代の古いカソード・バイアス方式のチューブアンプ(5e3)をクランクさせたようなサウンドだとも本人は言っています。
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個人的な感想はとにかく表現性が高く、古臭いサウンドのする空気感のあるサウンドだなと思いました。小さめのDeluxeみたいなアンプをフルテンにした時の凄みのあるサウンド(真空管が焼け付くような匂いも!)が再現されます。このペダル1個で手元音量とピッキングだけでサウンドメイクする古めかしいギタリストさんには本当に最適だと思います。またダグも言っているように「サイケデリック」なサウンド。このキーワードは一貫していてドラッグのように癖になるサウンドです。キラキラしたりどんよりしたり、抑制されたり爆発したり、表現の自由な幅も素晴らしいペダルだと思いました。
 

追記:指弾きでブルースを弾いてみるともうたまらなく最高な事を発見しました!ボリュームを少し絞って弱めにピッキングすればクリーンになるし、その状態で強めにピッキングすれば最高にブルージーなクリッピングになります。少しボリュームを上げるだけで今度はむせびなくようなブルーストーンに!これは相当カッコ良かったので追記させていただきました!

 
 
ちなみにソロアルバムの録音で多用されたmid-fi electronicsのエフェクターは「Clari(not)」だけで、主にオルガンサウンドに使用されたようです。
さて、Trouble In Mindレコードから発売されたDoug 初のオリジナル・ソロアルバム「Doug Tuttle」は以下より購入、またはダウンロードも可能です。試聴もできるようですので是非チェックしてみてください。

http://www.amazon.co.jp/Doug-Tuttle/dp/B00G5B6ULQ
 

 

MMOSSの作品はほとんどアナログ盤でしか出ていないので今回のCD発売は嬉しい限り!ウェストコースト系のドリーミィなサイケデリックポップを思わせるメロディやコーラス、メランコリーで時にフリークアウトする揺れる感、サイケデリアなオルガンのドローンサウンド、卓越したソングライティング、淡々としているようで心にしみるDougのギターなど聴きどころ満載。僕はCDを送ってもらってからずっとリピートで聴いております!お勧めですよ。

 

 
 
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