Powered by

クリエイティブな音楽機材の
メディアサイト

アイキャッチ画像
アイキャッチ画像
アイキャッチ画像
アイキャッチ画像
Recording プロオーディオ

【技術解説】電源を別ユニットにするメリット

弊社アンブレラカンパニー 取り扱いのアウトボードの中に、電源が別筐体になっている製品がいくつかあります。CHANDLER LIMTED 全般(一部を除く)、VINTECH AUDIO全般(一部を除く)、GRACE Design m802 m906 など、ハイグレードな機器であることが共通しています。 なぜ、わざわざ別筐体のパワーサプライにしたのでしょう?セッティングは面倒になるし、コストもかかる、これらの短所以上に音質面でメリットがあるからです。

この手のアウトボードの電源回路には、電源トランスが使用されています。電源トランスは、電磁誘導の原理から商用電源から任意の電圧に変換し、整流・平滑を経て作られる直流電源の大元となる欠かせない電気部品です。しかし、電源トランスは動作に必要な電源を得ると同時に、良くない現象も発生させてしまいます。商用電源のAC100Vはつなぐだけで周辺に大きな電界を発生させます。電源トランスに通電すると商用電源周波数やその高調波の周波数の変動する磁界を発生させ、周辺の磁性体や電源トランス自らのコアに作用して振動源ともなります。適正に設計された機器では、これらの影響実用上問題になる事はほとんどありませんが、微小信号であるマイク信号を扱うプリアンプのようなプロオーディオ機器では音質を左右する重要な要素の一つです。

dento_2

AC100Vのラインや電源トランスが発するノイズは、ある程度の距離をとれば劇的に減少するので機器内部のレイアウトによって解消させる事も十分可能ですが、増幅度も大きく微小なマイクレベルの信号を扱う「マイクプリアンプ」などでは十分すぎる対策を施してもやりすぎではありません。 マイクを繋がず、ゲインを上げるとマイクプリアンプの音が聴こえます。電子的な増幅をしていますので「サー」というホワイトノイズが聴こえます、そのホワイトノイズに埋もれていますが、筐体を軽く叩いてみたりするとはっきりとその音が分かると思います。これは音声回路の基板が振動を拾って電気信号に変換してしまうため、さらには電圧増幅度を大きく使うマイクプリアンプですので一緒に増幅され、音として聴こえるようになります。

external-psu-004

external-psu-002

微小なマイクレベルの音声信号は、微小ながらも広いダイナミクスを持っています。たとえば-60dBu辺りを基準とし、ダイナミックレンジ100dBとする、ヘッドルーム20dBと考えても、 -40dBu が最大で、小さい方は -140dBu。100dB のダイナミクスを表現するためには -140dBu の極微小信号まで正しく増幅しなければなりません。マイクの信号はこれほどまでも微小な信号です、マイクプリアンプの重要性が良く分かります。

external-psu-005

ハムノイズやホワイトノイズといった電気・電子的なノイズの性能はもちろん重要ですが、機械的な振動により混入するノイズもマイクプリアンプにとっては音質を左右する大きな要素です。先述しましたように電源トランスは強い電界・磁界の下で使用されます、商用電源に起因する電界・磁界の発生源ですので音声信号にとってはノイズ源。振動源でもあります、もちろん音声信号とは無関係なノイズとしての振動源となります。電界や磁界は空中でも伝わります、距離によっての減衰も大きいのでノイズ源を離す事が有効です。磁界は磁性体によっても伝わります、距離をとる事も効果的、磁気の遮蔽も対策として挙げられます。振動は接する個体によって伝わります、構造的に切り離す事でシャットアウトできます。とすると、電源ユニットを別筺体にする事で理想的なノイズ対策ができる事が分かります。コスト面や使い勝手に目をつぶってでも採用したくなる、音質を追及した最良の電源の姿ではないかと思います。

external-psu-006

しかし、この方式にも欠点がない事はありません。チャンネル数が増えると電源ユニットから本体内、各チャンネルの基板までは共通インピーダンスダンスとなってしまう事。気を付けないとクロストークの原因となってしまいます。が、CHANDLER LIMITEDやVINTECH-AUDIOでは各チャンネルでしっかりとバイパス処理がなされていますし、GRACE designに至ってはチャンネルごと、またはセクションごとにローカルレギュレータを配している徹底ぶり、逆にセールスポイントと言っても良い特徴になっています。

別筺体の電源ユニットの方式を採用したこれらの製品の実力は各導入例からもご確認いただけると思います。 いつもの環境で、その上質なサウンドをお確かめいただけるよう、デモ機もご用意しておりますので、お近くの販売店や弊社営業部までご用命くださいませ。

 

製品リンク ■ GRACE design http://umbrella-company.jp/gracedesign.html ■ CHANDLER LIMITED http://umbrella-company.jp/chandlerlimited.html ■ VINTECH-AUDIO http://umbrella-company.jp/vintech-audio.html

SHARE

Facebook Twitter リンクをコピー