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ニューヨーク・ブルックリンのWilliamsburgで2002年に産声をあげた”DEATH BY AUDIO(デス・バイ・オーディオ,DBA)“は、ハンドメイドのブティック・ペダル・ブランドが、インターネット販売を通じて世界に発信し始めた頃からの老舗ブランドだ。私は当時EFFECTOR13(Devi Ever Fx)を販売していたので、似たようなテイスト・・というよりは”アティチュード”
を感じていた(今思えば全然似ていないのだが・・)DEATH BY AUDIOと取引をすることはなかった。

“DIY Brookryn Scene”などと呼ばれたらしい2000年代のブルックリン周辺は、大変にクリエイティブで新しい事が次々に起きたのだと聞いている。私がニューヨークに住んでいたのは1990年代の中盤から後半にかけてで、まだマンハッタンのダウンタウンに私がアンテナを立てるようなカルチャーは集中していた。その後にブルックリンに多くが移っていき、そのブルックリンでさえも現在では多くの状況が変わりつつあるという事で、時代はもう何ディケイドも過ぎたことを思い知らされる。

ブルックリン時代のDeath By Audioは、ライブハウス、レコーディングスタジオ、ペダルマニュアファクチャー、レコードレーベルを商業用の倉庫に集結させ、ニューヨークのアンダーグラウンド・ミュージック・シーンを牽引した。サーストン・ムーア(SONIC YOUTH)やダーティー・プロジェクターズなど多くのミュージシャン達のライブが行われ”DEATH BY AUDIO”は一躍ニューヨークのカルチャーの発信地となった。またDBAオーナーである”オリヴァー・アッカーマン”はAPTBS(A Place to Bury Strangers)のフロントマンとして「ニューヨークで一番ノイジーなバンド」と呼ばれ、シューゲイザー/ノイズ/ガレージ・ミュージックにおいて常に注目される存在となる。

ニューヨーク市内(マンハッタン)では家賃の高騰が続き、当時は家賃が安いという理由でアーティストが多く集まってきていたブルックリンにも中流層、富裕層が押し寄せ、再開発が進んでいるという話は良く耳にはしていたが、その波はDEATH BY AUDIOにとっても他人事ではなかったらしく、2014年暮れに、雑誌『Vice』を発行するヴァイス・メディアが建物の賃借権を得て、立ち退きとなってしまったようだ(現在は同じニューヨーク州クイーンズのRidgewoodに引っ越し活動している)。

伝説のDBAブルックリンの倉庫の最期は一冊の写真集
「We’ve Come So Far: The Last Days of Death By Audio」としても発売された。

↓DEATH BY AUDIOのブルックリンの倉庫ライブスペースでのラストライブの様子。演奏はDBA主宰のオリヴァー・アッカーマンのバンド「A Place to Bury Strangers」

↓DEATH BY AUDIOのブルックリン時代の写真集のアウトテイク
150点以上を、以下のURLで見ることができる↓

http://www.brooklynvegan.com/150-never-before-seen-death-by-audio-photos-by-ebru-whose-book-is-out-now/#photogallery

DEATH BY AUDIOを主宰する”オリヴァー・アッカーマン”は新天地においても、DIY精神にあふれた、よりクオリティーの高い、そして誰も作ったことのないようなギターペダルの開発に力を注いでいる。

2017年の暮れにDEATH BY AUDIOが私に一通のメールを送ってきた。2018年1月のNAMMショーで、BPNYCのTada氏のご厚意もあり彼らに会って意気投合、弊社でもDEATH BY AUDIOのペダルを販売する事になった。まだインターネットのなかった時代に、アンテナを高くして噂や雑誌の情報を漁って、新しいものを探していた時代に20代を過ごし、インターネットで世界に繋がってチャンスを掴んだ当時の個人製作のペダルメーカーが、今もこうして新しいサウンドに挑戦し「はみだし続けている」ことは嬉しいことだし、同世代としては応援したい。

すべてのDEATH BY AUDIOペダルを数週間にわたって弾きまくった結果、彼らの作る「ぶっ飛んだ」ペダルの多くに「深み」を感じた。私もかれこれ随分長い間に渡って大量のちょっと変わったノイジーなペダルを体感してきたが、その多くは思いつきというか、たまたま出来上がったような表面的なものが多かったように思う。パッと弾いてみた感じはぶっ壊れていて暴れん坊なのだが、やはり何年か経つとその時の衝撃が感じられないことも多い。DEATH BY AUDIOのペダルはどうもあまりモデルチェンジもなく、一度設計したデザインを変えることは少ないようだ。これは設計者のオリヴァー・アッカーマンが確固たるビジョンを持ってサウンドメイクを行っているからではないかと思う。どのペダルも極めてはみだしていて、従来の型や枠には全くはまらないサウンドのものが多く、最初に弾いた時には少し戸惑う機種もあるのだが、もう少し弾き込んでいくと「あーなるほど、こうやって制御すると全く違う世界が見えてくるぞ」とか、「うむむむ。このノブとこのスイッチが相互に作用した時の音がヤバすぎる」など、とにかく奥が深い。思いつきとかでは全然なくて、かなり計画的かつ天才的なアプローチで狙ったサウンドに到達している事がわかってくる。表面的なイメージだけだとぶっ飛んだ人が作ったぶっ飛んだギターペダルみたいに見えるかもしれないが、オリヴァー・アッカーマンはギターペダルの設計においては常に繊細で、特にトーンチューニングにおいては、自らがミュージシャンとして(彼は現在はA Place to Bury Strangersのボーカル&ギタリストとして精力的に活動している)追い求める明確なサウンドイメージを再現するために、かなりの努力をしているのではないかと私は思う。想像以上に真面目なブランドで、今まで付き合ってきたノイズ系のエフェクトメーカーとは少しちがう「頑固ノイズ職人」(なんだそりゃ?)的な一面も感じる。

もちろん一般的な製品とは言い難いことは百も承知で、DEATH BY AUDIOのクリエイティブでノイジーなギターペダルを、日本のクリエイターの方々に知ってもらう活動をすることは、なかなか楽しいことになりそうです。

最後に、先ほどまで作業していた“APOCALYPSE”( アポカリプス)というファズペダルのために書いた一節がなんか気に入ったので載せておきます。

「はみ出した部分にこそ美学がある。掃除もしないし髪の毛も洗わない。埃の積もった床のコーナーの隅にあったチン毛のようなものにさえ愛情をもって接した結果、こんな美しくノイジーなファズが生まれたような気がします。そんな愛あるファズが5種類も楽しめるのだからありがたい。ありがてぇ。」

愛情をもって作られているということが言いたかったんですが、やっぱりこんなになってしまう(笑)だめなのか?でも頑張ってこの愛を伝えていこうと思います。どうぞよろしくお付き合いくださいませ。LOVE。

 

★ DEATH BY AUDIO
http://umbrella-company.jp/deathbyaudio.html

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