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Mic pre amp マイクプリアンプ

CHANDLER LIMITEDの真空管マイクプリ REDD.47 Preampの秘密に迫る!

 

先日のサンレコ誌レビューからの評価で(記事の紹介はこちら)、

「ザ・ビートルズの楽曲で耳にする、あのピアノサウンド! 」
「リボン特有のまろやかさを残しつつ、自然と伸びる高域が心地よい」
「ボーカルはファイン・ゲインの設定で太くも、透き通るような音色も、魔法のような音色変化」

など、のコメントを頂戴したCHANDLER LIMTEDのチューブ・マイクプリアンプ "REDD.47 Preamp" 。このサウンドの秘密は何なのか?電子回路的な視点から考察してみようと思います。

 

chandler-redd47-tech-01

 

REDD.47の何がすごいかって、ツマミのでかさ!今までに見たツマミの中で一番大きい!ツマミが大きいほど音が良い!・・・もちろんそんな訳ありませんが、大きさだけではなく増幅度を決定するツマミが3つもある!数も多い。数が多いのはダテではなく、それぞれの変化の性質が異なり、音量と同時に音色を操ることができます。

でかいツマミ。

でかいツマミ。

・VOLTAGE GAIN 主に音量を決めるゲイン。6dBステップで +16dB ~ +52dB の可変幅を持っています。

・FINE GAIN キャラクターをコントロールするゲイン。小さな音量変化の割に音色の変化幅が広い。

・OUTPUT 出力段のレベルを決める。音色の大きな変化はない。

基本的な役割は分かりました。これをどう使い倒すか、そのヒントを測定器で探してみたいと思います。

chandler-redd47-graph-01

入力レベルは -40dBu 、0dBu まで持ち上げるためには 40dB のゲインが必要です。ゲインを40dBにするためには各ゲインの組み合わせで何パターンか存在します。たとえばVOLTAGE GAIN=40,FINE GAIN=0の特性を黄色ラインで示しています。FINE GAIN=0はREDD.47 PreAmpのオリジナルキャラクターと言う事ですので、まずここから試してみるのが良さそうです。周波数レスポンスは10kHzをコーナーに緩やかに上昇しているのが分かります。可聴帯域より上、30kHz で約 +4dB と程よくエアー感を得るのに的を射たカーブを持っています。「リボン特有のまろやかさを残しつつ、自然と伸びる高域が心地よい」と表現された理由が分かります。リボンマイクが苦手な高い周波数帯域をREDD.47のこのカーブが補って自然なレスポンスを生み出していると考えられます。

水色のラインはVOLTAGE GAIN=46,FINE GAIN= -5 の時の特性です。周波数レスポンスは黄色ラインと変わりませんがTHD倍音が少なく抑えられています。

赤いラインはVOLTAGE GAIN=34,FINE GAIN= +5 です。付加される倍音量が増えてきます。周波数レスポンスはローエンドがロールオフ方向に変化しています。

倍音構成を見るためにFFT解析を行いました。

chandler-redd47-graph-02 緑 FINE GAIN=0 水色 FINE GAIN= -5 赤 FINE GAIN= +5

FINE GAIN=0の緑はオリジナルということで中間的な感じです。2次 3次 4次 6次と倍音が確認できます、5次倍音は現れないようです。5次倍音は音程だと2オクターブ上の長3度、メジャーコードの響きを決定づける要素となる。この5次倍音が出ていないのでニュートラルな倍音構成と言えると思います。水色は構成もアマウントも控えめ色付けが少ないクリアな印象になります。赤では1%に迫るアマウント、高次倍音までしっかり出ています。これだけ出てくるとリッチで派手めな印象に変化します。FINE GAINの設定で思い通りにCoolからHOTまでイメージ通りに倍音をコントロールが可能です。「ボーカルはファイン・ゲインの設定で太くも、透き通るような音色も、魔法のような音色変化」というのは、この独創的なFINE GAINの効果だと言えるでしょう。

chandler-redd47-graph-03

最初の設定で、もう少し入力レベルが大きくなった場合、つまり強い音が入った場合の様子を見てみます。入力レベルに応じて音量を示す周波数レスポンスは +10dBu のラインにシフトします。通常入力レベルが 10dB上がれば出力も10dB上がりますが、赤いラインを見ると若干低めになっています、黄色もよく見るとその傾向が出ています。リニアリティーが崩れている、THDのバランスも多くなっていますので、真空管特有の緩やかな飽和状態の領域に入ってくると推察でき、「ビートルズの楽曲で耳にする、あのピアノサウンド!」「ややつぶれ気味のアタック感」の要はここにありそうです。

THDは赤・黄は変化量が大きく、入力レベルで倍音の付き方がダイナミックに変化することが見て取れます。「タッチを強めに弾いてもらえば、心地よいアタック感とパンチが自然に出てきます」うまく設定すれば演奏の強弱で倍音の付き方が変化するコントロールしやすいサチュレーションが得られます。

水色は 10dB アップしてもバスタブの底部分ではさほどTHDの変化がありません、あくまでも平静を装うことに徹している。しかしローエンドとハイエンドのTHDの増加は出力トランスの特性が絡んでくる。この帯域では3次倍音が増えるので艶やかな響きを演出してくれる、ビンテージ系に多く見られる特徴です。

chandler-redd47-tech-03

電気的に理想的なアンプは、周波数特性DC~∞Hzでフラット、ノイズ無し、歪無し、他にも挙げればきりがありませんが<余計な事はしない>のが理想とされますが、違うベクトルでサウンドを極めたすごいやつ。周波数特性はフラットじゃないし、歪だって積極的に利用する。完全に出音にこだわり自由な発想で開発された音楽的で芸術的で魅力的なマイクプリアンプ。カラーは強いが演奏者の意思に応じてくれる音楽を分かっているかのようなマイクプリアンプ。CHANDLER LIMTED製品はどれも面白い!

是非このサウンドを全国の販売店、または弊社のデモ貸出しサービスなどで、一度体感してみてください!お待ちしております。

 

http://umbrella-company.jp/zcatpedals.html

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