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Interview column インタビュー&コラム

CAROLINE Guitar Company フィリップ・ハーンドン氏に日本独占インタビュー!(完全版)

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先日雑誌の為に行ったインタビューの完全版です。 Caroline Guitar Companyが生み出すクリエイティブな機能をもった、ワン・アンド・オンリーな個性が光るギターペダルの数々が、どうやって作りだされているのか?そしてそのペダルはどんなミュージシャンに最適なのか? Caroline Guitar Companyのすべてが分かる、独占インタビューです。お楽しみください!

 

---- Q1.質問にお答えいただく方のお名前と役職を教えてください。

私の名前はフィリップ・ハーンドンです。Caroline Guitar Companyの創立者でありオーナーです。ペダルの設計から運営、給料計算からコーヒー係まで全部こなします。時にはペダルの組立ても私自身が行っています。

---- Q2.CAROLINE Guitar Companyのスタッフの概要を紹介してください(それぞれの社内での担当部門や、得意なスキル、簡単な経歴、影響を受けた音楽やミュージシャンなど)

私は1990年代には幾つかのバンドで演奏していたツアーミュージシャンでした。 私はインディペンデント音楽の世界で活動しながらも、何がどのようにサウンドを作り出しているのか?という事に魅力を感じていたのです。私は(電子工学の)基礎を学ぶ為のクラスに通い、いつもツアーから戻ると友達の為にペダルを改造・修理する毎日でした。 その当時から私は自身のデザインに対してアイデアを持っていました。私たちの仕事は米国サウスカロライナ州コロンビアの街から発信されるもので、常にプロフェッショナル、明白に良いサウンドを持っていて、信頼できるものであるべきだと考えました。

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---- *あなたはどんな音楽に影響を受けていますか?

私は本来ギタープレーヤーです。今も演奏していますが本当はもっとプレイしたいと思っています。インディ/エモ系のロックミュージック、Death Cab for Cutie, Nada Surf, Explosions in the Skyなどのバンドに共感を感じます。カナダの Matthew Good Bandも大好きなバンドです。これらのバンドは “arena indie”などと形容されるようなサウンドに影響をうけていて、私達が製作しているペダルも同じような感覚を持っています。パワフルで磨かれていて、さらにヒリヒリとした感触も持ち合わせています。

---- Q3.CAROLINE Guitar Companyが設立されるに至ったストーリーをお聞かせください。

2010年の8月に Caroline “Guitar” Companyがスタートしました。実は当時私はギター製品に関する特許と設計のアイデアを持っていたので “Guitar”という単語をいれました。残念ながらこのギターのアイデアは実現することがなく、実際の製品として見せられるには至りませんでした。 その後最初の歪ペダルのデザインのアイデア(Wave Cannon)を詰めていきました。当初はProco Rat やDOD-250のようなシングル・オペアンプの設計でしたが、その後に随分と方向性が変わりました。 当初は50台〜75台くらい生産して、もしも更に欲しい人がいれば、もう少しだけ作ろうとしか考えていなかったのです。今現在、Wave Cannonの生産をストップしている最大の理由は、最初は50台位の生産しか考えていなかったペダルが大ヒットし、その当初のデザインのまま販売し続けることに疑問を感じたからです。

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---- *ペダルメーカーとしてのモットーや哲学はありますか?

例えばクラシックな歪ペダルのサウンドが素晴らしかったとして、でもそれ以上のものが欲しい時があります。より大きなボリュームやゲイン、レンジ感などを達成する為にモディファイを行う。でも私はそれだけにとどまりたくないと感じます。そのペダルが開発された時にどんなサウンドを目指していて、(そこに自分自身がいたら)どんなサウンドを目指しただろうと考えます。 私はクローンされたペダルをあまり信じていません。Tube Screamerが必要なら IbanezやMaxonの優秀な人たちがそれを作っています。多くの(クローンを製造する)会社が「これが私たちのBlues Breakerです」「私たちのKlonです」などと、まるでワインやビールなどのカテゴリーのようにそれを宣伝しているのは少しおかしいように感じますね。Caroline Guitar Companyのペダルは私たちのユーザーの為に設計されたオリジナルであることを知ってもらいたいです。 私はいくつかの古い電子回路やペダルに関する書物を所有していて、それらを見返す事が多いです。その度にクラシックな設計の手法にインスパイアを受けています。私たちのペダルデザインも同じ用に将来インスパイアを与えられる物でありたいとも思っています。既に誰かが作ったものや、コピーだけではそのハードルを超えられないと考えています。

---- *Caroline Guitar Companyのペダルはどんな人に向けられて作られていますか?どんなミュージシャンが使用すべきですか?

私たちのペダルを気に入ってくれるアーティストの多くは、何か新しいサウンドを求めている人達ですが、デジタルサウンドのように完璧にピカピカのサウンドを求めてはいません。ハイゲインでハイパワーですがノイジーにはなりすぎず、さらに平坦なサウンドでもいけません。ウォッカというよりバーボンといったイメージですね(笑)。 Carolineのギターペダルでは、よりリアルなサウンドになりますし、コンプ感も控えめなので、初心者のプレーヤーには少し扱いにくいかもしれませんね。しかし、ダイナミックな演奏ができるプレーヤーにとっては私たちのペダルは他にない価値を発揮します。 私たちのペダルは「ギターヒーローや友達が使ってるから買ってみる」といった類いの製品ではないかもしれません。自分だけの個性的なボイシングやサウンドを探求しているクリエイターには最高のツールになると思います。

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---- *あなたのペダル設計に影響を及ぼしたエンジニアは誰ですか?どんなブランドが好きですか?

1970年代から80年代にかけてのProco、MXR、 Electro Harmonixの設計は素晴らしいですね。それらのサウンドは語りかけてくるものがあると思います。私たちの街であるコロンビアから、そんなペダル同様の忘れられないような商品を送り出したいと常に考えているんです。 友達のJack DeVille (Mr. Black), Jon Cusack (Cusack Effects)や Joel Korte (Chase Bliss)も本当に素晴らしいエンジニア達で最高のペダルメーカーです。中でもChase BlissのWarped Vinylは本当に良いと思います。新設の小さな会社に対する考え方で「1つの中心となる機能に集中する」という方法もありますが、このペダルの発想は全く逆ですね。より発想を豊かに、限界を超えていけるような設計がされています。ビジネス・コンサルタントなら、それをやり過ぎと言うのかも知れませんが、プレーヤーやクリエーターにとっては、より楽しい製品になると思います。

---- Q5.御社の目指すサウンドは、70〜80年代の音色をベースにオリジナルのアプローチを加えたものだと聞いています。その時代の音に注目する理由を教えてください。

それは的確な指摘ですね!私はPink Floyd, AC/DC, Black Sabbath, Led Zeppelinなどを聴いて育ってきましたし、1990年代には多くのグランジ系のバンドがそのサウンドをまた違ったアプローチで再演しました。個人的には今一番気に入っているのは1980年代のサウンドで、コーラスをたっぷりかけたサウンドや、Roland Junoのシンセサウンド、当時のデジタルディレイの音質などを研究しています。それらは今また再評価されているのではないでしょうか? 私がこれらの1980年代のサウンドに惹かれるのは、それがどこか不完全な要素を持っていて、それがリアルさと美しさを感じさせるからだと思います。時にそれらのサウンドはドライすぎたり、粗すぎるかもしれません。しかしそれらのサウンドはミックスの中でも引き立っていて、私には「現在の全てのラフなエッジを取り除いてしまった音楽」より素晴らしく良く聴こえるのです。

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---- Q6.USC/CTIのメンバーである事や、他にも、Kickstarterの利用など、御社では独創的な資金調達手段を活用されていると聞きます。その優位点や現在のエフェクター業界との接点、さらに、そういったシステムがもたらす今後の可能性についてお聞かせください。

私たちはKickstarterを利用した最初のペダルメーカーです。借金なしに資金を調達できました。アメリカでは金融不安以降、銀行の融資がなかなか受けにくくなっていますからね。 私たちのクラウド・ファンディングを利用したケースは良いモデルになったと思います。そして他のペダルカンパニーも同じようにそれを利用しました。でも中には資金を集める事だけに焦点があって、あまり感心しないケースもありますね。私たちは信頼されるブランドとして良いビデオやサウンドファイルを制作しました。このような手法でユーザーから信頼していただいたのだと思います。

---- Q7.初代“Wave Cannon”がGuitar World誌のPlatinum Award for Excellenceに選出された時のご感想はいかがでしたか? また、それによって会社として何かが変わりましたか?

その時のレビューは今でも額に入れて大切に飾られていますよ。私たちのペダルは見た目もプロフェッショナルなものだったので、この記事が「この小さな会社がハンドメイドでペダルを作っているのを手伝ってあげないと!」と書いたので、多くの人々は私たちの会社の規模を初めて知ったようです。とにかく素晴らしいレビューによって注目されましたし、露出も多くなりました。私たちのペダルが必要な人にも、そうでない人にも情報が届くので一長一短はありましたけど・・・。

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---- Q8.他社製品と比較して、御社のペダルが特にこだわりを持って取り組んでいる点について、音質面、ハード面の両方で解説してください。

私自身は選別されたゲルマニウムとか、魔法のようなダイオードとか、熱帯魚のようなキャパシターなど、そういった類いの事にはあまり頼らないような設計を志しています。それよりも明確なビジョンを持ち、どんなコンセプトの製品を作り上げたいのか?という事に集中し、熟考して製品開発を行うようにしています。オリジナルアイデアを実現する為に計算や理論に頼りすぎないという事も大切だと思います。

---- Q9.御社製品で共通して目を引くのは、コントロール名の代わりに記された個性的なイラストだと思います。このユニークなデザインはどのような経緯で採用されたのですか? また、その効果は?

最初はジョークのようなものでした!アイコンを使用したデザインをやってみたらどうなるだろうと Wave Cannon の設計時に思いついたのです。そこに全てが書いてあると大抵の人は真ん中にノブを設定して、そこから微調整していきます。でもアイコンを使用することで、それが何のコントロールなのかがすぐに分からないので、様々なノブの位置を実験的に試してもらえるのです。これはとても素晴らしい事だと思うのです。 見た目も楽しくなりますし、想像力も膨らむので気に入っています。

---- Q10.現在、日本国内で販売されている4製品“Kilobyte”“Haymaker”“Icarus”“コロンビア(Olympia)”について、それぞれの簡単な製品解説と、どのようなサウンドを狙ったものかを教えてください。

* Kilobyte - ローファイ・ディレイと呼んでいます。プリアンプ回路でディレイのリピート音に歪みを加える事で、美しい夢の中のようなディレイサウンドを表現します。 *Haymaker - もうほとんどの人は自分の好きなオーバードライブ・ペダルを持っていますよね?Haymakerを設計するにあたって、全てのオーバードライブペダルに代わるものを作ろうと考えました。どんな使い方をする場合にも、ノブを動かした瞬間に「これは一味違うぞ!」と感じてもらえると思います。 * Icarus - 私自身がこのようなシンプルで最高のサウンドのブースターを欲していました。ブースト時にローパスフィルターはとても役に立ちます。シングルノートからコードまでサウンドの太さを最適化できます。 * コロンビア ファズの設計は本当に面白いです!これは4トランジスタのファズアレイによる Tone Bender/Muff 系のファズですが、よりパンチ感を重視した、完全なるオリジナルサウンドにチューニングしています。

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---- Q11.“Kilobyte”の“ATTACK”(インベーダーのイラスト)ノブは、かなり個性的なコントロールで印象深かったです! ディレイ音のみをゲイン・アップするというこの素晴らしいアイデアはどういった過程で生まれたのですか?

古い Electro-Harmonix のDeluxe Memory Manがとても気に入っていましたが、プリアンプがドライ信号とエフェクト信号の両方に影響してしまうのが私には問題でした。ある日シャワーを浴びている時に、サミングアンプに戻る信号を分ける事がでいないか?と思ったのです。リピート音にダーティーな倍音を加えることで、今までに聴いた事のない、とても個性的なサウンドになりました。MoogもMinifoogerでブースト・プリアンプを使用したりしていますが、私たちのような設計のアレンジは見た事がありませんでした。

---- Q12.“TACOS”コントロールの開発には、あのJack Deville Electronicsが関わっていると聞いていますが、どのような関わりからそういった経緯が生まれたのでしょうか?

Kilobyteも資金調達サイトであるKickstaterのプロジェクトでした。TACOS機能はKickstarterのキャンペーン時に当初ジョークでつけられた名前なんです。 ダラスのバスケットボール・チームであるマーベリックスはかつて最弱のチームで、客寄せの為に彼らが100ポイント以上得点できたらし、タコスを全員に振る舞うというキャンペーンをやったんです。 私たちはKickstaterで一定のサポーター数が集まったら、 Jack Devilleが設計したモジュレーション設計を無料で提供する事を約束し、見事そのサポーター数を達成しました。その時のキャンペーンの名前をTACOSキャンペーンと名付け、その名前がそのままコントロールの名称になりました。 このTACOSコントロールについては全ての設計がJackによるものです。

---- Q13.PT2399チップの能力を最大限引き出すには、どんなパーツと相性がよく、また、どのようなチューニングが効果的だと考えますか?

PT2399は本質的にとてもノイジーです。データシートからもそれが見て取れます。THDは200msを超えるととても多くなります。そこでディレイタイムを制限するか、ノイジーなデバイスであるという事実を前提に設計に取り組むか、といった選択が必要になります。しかしPT2399を本当に正しく動作させた時のサウンドは何にも代えられない美しさがあります。 多くの人たちがPT2399をダークなサウンドに設計しているというのが私の意見です。ノイズを対策していく上で高域を削らなくてはならず、それをアナログボイシングのディレイと呼ぶメーカーもあります。BOSSのDM-2はとてもダークなボイシングですよね。私たちのKilobyteについてはMemory Manよりも少しダークなサウンドですが、プリアンプを低く設定すればクリアーなサウンドを出す事も可能です。 

---- Q14.“Haymaker”の“SHAPE”コントロールは、Ruetz Amplificationとの共同開発だと伺っています。この、特定帯域の質感に大きく干渉する効果について詳しく解説してください。また、その具体的な使用方法を教えてください。

Phillip RuetzはクラシックRATに同様のモディファイを施しており、私はそのサウンドに惚れ込んでいました。彼の許可を得た上で、この設計をWave CannonとHaymakerに組み込んでいます。これを機に彼の素晴らしいアンプデザインをチェックしていただけたら嬉しいです。このSHAPEコントロールは、本当に素晴らしく、低域のバランスとゲインのボイシング補正が完璧に行えます。もしよりミッドレンジが欲しければノブを少し上げてください、少し太すぎるようであればノブを少し下げ気味にします。

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---- Q15.御社の考える「歪みサウンドとミドル・レンジの関係性」について、そのメソッドや哲学があれば語っていただけますか?

オーバードライブ、ディストーション、ファズといった歪みの境界線は曖昧です。私が所有するFuzz Faceではマックス設定にしてもギターのボリュームを2位にセットすれば美しいクリーンサウンドが楽しめます。現在設計中のWave Cannnon2やHaymakerは、たいへんハイゲインの歪みにもなりますが、同じく美しいローゲイン・サウンドも楽しめるようチューニングされています。 私のフェイバリットなドライブトーンはChris Whitleyの Din of Ecstacy に収録されている “Narcotic Prayer” という楽曲の歪みです。ピックアップとファズ、そしてアンプの織りなす究極のコンビネーションです。滑らかで太く、そしてファジーでパンチがある。彼は素晴らしいソングライターでギタリストですがとても過小評価されていると思います。 歪みサウンドを考えるうえで、ミッドレンジはとても重要です。Carolineの設計では中域をとても重要視していますが、それは常にアンプのサウンドに寄り添うものでなくてはなりません。私はいくつかの中域を強調したペダルがFenderのアンプでは最高だったが、VoxやOrangeのアンプでは全く最悪だったという経験をしています。またドンシャリなサウンドの歪ペダルがFenderのアンプでは全く歌わず、Vox AC30では素晴らしいサウンドだったりという場合もありますね。 ミッドレンジの存在感を引き出すためには、繊細なチューニングが必要です。ブースト幅がシャープすぎれば、特定のアンプを使用した場合にサウンドが鼻つまみな感じになってしまうからです。

---- Q16.“Icarus”では「特殊なインピーダンス構成」を採用しているとの説明があります。それは具体的にどういった仕様をさしているのでしょうか?

ICARUSでは高インピーダンスの入力と低インピーダンスの出力ですがサウンドをとても重視してデザインされています。シンプルなローパスフィルター(太陽のマークのコントロール)はケーブルの引き回しなどで失われた輝きを見事に取り戻す事が可能です。

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---- Q17.コロンビア(Olympia)は、一見、野放しなオールド・ファズのように見えながらも、リリース時のエンヴェロープが絶妙な具合に整理されていて、並々ならぬセンスを感じます。これは、トラディショナルな音像に安直に満足はしないという御社の姿勢を表していると思って間違いないですか?

私はビンテージのファズサウンドが大好きですが、ゲルマニウムトランジスタの温度などに対する不安定要素を多く経験してきました。このペダルで私はLED ZEPPELINのBBCでのパフォーマンスのサウンドを大いに意識しました。 また最大に歪ませた場合にはMastodonのようなヘビーなサウンドになるように調整しました。マフ系のファズのようではありますが、より中域の表現力があります。トーンコントロールはなしのシンプル構成です。 またDavid GilmourのマフサウンドもEQで少しミッドレンジを補正していますね。このペダルはそのようなアイデアを実現したオリジナル・チューニングのファズペダルなのです。

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---- Q18.御社のペダルは、 使えば使うほど、実際に数値化されるパラメーターを超えて奏者の感性を体現しやすい仕様であると感じさせられました。エフェクト・ペダルにおける「直感的操作」の重要性について、御社のお考えをお聞かせください。

この事は私たちの設計においてとても重要な事です。ワンノブのコントロールに全てのコントロールを設定するようにもできますが、私は全てのレンジをコントロールできる方が好みです。それぞれのコントロールが適切なスポットに設定されるべきです。ノブのアクションについても、シチュエーションによってリニアーな設定が良い場合もあれば、対数的なコントロールが適する場合もあります。ペダルによっても、シチュエーションによっても、コントロールの内容によってもその設計は全く異なってきます。全ては直感的なコントロールの為に時間をかけてデザインされています。

Q19.名機“WAVE CANNON”のバージョン2もスタートして、ますます忙しくなりそうですね。今後、どのようなエフェクターを展開していくつもりなのか、長期、短期、それぞれのヴィジョンを教えてください。

WAVE CANNON MkII は2015年の3月には最終的に完成する予定です。オリジナルの設計をより良くするためのアイデアが次々にあふれてきて、それに取り組んできました。 より大きな歪みとパッシブトーン・ステージの後のボリューム・コントロールの為に複数のゲインステージを採用します。Focus(ミッドレンジ)とToneのコントロールは以前の設計とは異なり相当に幅広いテクスチャーとボイシングのレンジを実現しています。私は多くのクラシックな歪ペダルがクリーンアンプで使用した際には十分なゲインが得られない事に不満だったので、このペダルには十分なゲインとボリュームを持たせてあります。またRumbleスイッチでローエンドを足す事ができます。また以前のバージョンのWave Cannonのサウンドが必要な場合には、カスタムショップ扱いのCannnonball(1台ずつ異なるグラフィックの1点もの)を用意しています。

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また、今年考えたいアイデアは、ICARUSのマイナーアップデート(マイルドなテイストの追加)と、リバーブペダルのコンセプトです。私たちのクリエイティブなカスタマーに対して、私が以前から考えていたリバーブのコンセプトを提案できる機会を持てる事は、挑戦でもあり、楽しみでもあります! チャレンジしてみたい事としては、最近ルーパーペダルにとても興味があるのです。このジャンルにはまだまだチャレンジできる要素があると思います。シンプルすぎれば機能的に魅力がないし、あまりに複雑であれば誰も使わないでしょう。ルーパーペダルでまだ誰も考えた事のないようないくつかのコントロールのアイデアがあるのですが、それはまだ内緒です!

---- *あなた方のペダルは裏フタに一台ごとに異なるメッセージが書いてある場合がありますね。時には詩が書いてあったり、長いメッセージが書かれている時もあります。あれは何故書いているのですか?

ギターペダルの業界では毎週のように幾つかの新規参入ビルダーが市場に現れます。半田ごてを片手に有名なペダルメーカーになろうとしているのです。一方で大量生産される大手メーカーの商品については、クオリティは高いとは思いますが、それは多くの大衆に平均して良いと思われるような製品である必要があります。コストを下げる一方で、幅広い層に受け入れられる為に攻撃的な要素はできるだけ控えめに設計されるでしょう。 私たちのアプローチはそういった製品とは違う物を作ろうとする事です。「小ロットの反乱」のようなものです。 つまりは、私たちはハンドメイドで小ロットの製品を作っていて、その開発やプロセスも全てコントロールできる。より良いアイデアがあればそれを次のロットにすぐ適応する事も可能です。 そのように人間が人間の手で丹誠込めて制作しているという事を、購入してくれた人たちにも伝えたくて、このペダルを制作した日付やその時にその人が思った事をハンドライティングでペダルの裏蓋に書き込んでいます。これは昔のMXRのペダルに検査をした人物のイニシャルが書かれていたことにインスパイアされて思いついたものです。それを楽しんでくれる人がいれば嬉しいです。

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---- Q20.最後に、日本で御社の製品を待ち望んでいるファンに向けて、メッセージをお願いいたします。

日本の方々が私たちが作ったペダルを受け入れてくれる事は、Caroline Guitar Companyのチーム全体にとって大きな意味のある事です。私はいつも製品がサウスキャロライナのコロンビアから発信されていることを強調しています。なぜなら遠い地のカスタマーにとってそれは、エキゾティックで興味深い事なのではないかと思うからです。 私たちの南部の街は歴史的にもあまり恵まれていなかったため、多くの人々は良い想い出をあまり持っていませんでした。しかし最近では若い層を中心にプライドをもってチャンスを活かしていく人が増え、私たちのコミュニティには優れた音楽家や芸術家、フィルムメーカーや小さなビジネスのオーナーが増えてきているのです。今では本当に才能あふれるミュージシャンが集まる場所にもなりました。 私はこのコロンビアという街でCaroline Guitar Companyを始められたことに本当に感謝しています。最初はこれだけの結果が残せるなどとは周りの誰もが思っていなかったからです。私たちのオリジナル製品が東京やニューヨークやシカゴやメルボーンなど世界中で「このアメリカのコロンビアという街で作られているCarolineのペダルはなかなか良いな」などと思ってもらえる事は何か特別な事に思えるのです。 たくさんの選択肢のあるペダルエフェクターの中で私たちの製品を手に取ってもらえる事は最高の出来事です。あなたの個性的なサウンドを創造する為に、私たちの製品は信頼のおけるものであると感じています。この信頼感こそが私たちのチーム全員がその作品に込めた思いなのです。

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