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Volt Ampere
(ボルトアンペア)
GPC-TQ

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voltampere GPC-TQは元々SINANO GPC-1500として発売されました。多くのプロフェッショナルレコーディングの現場や、オーディオマニアの間で知らない人は居ないほどであったSINANO HSRシリーズ電源(ハイパーサインレギュレーター)に続いて発表され当時相当なヒットとなりました。

NTTデータの持つ電源ノイズ処理(インピーダンスのあばれや反射、共振を抑える)技術が採用され、HSRの後ろに電源タップとして使用したり、単体で使用して電源に起因するノイズを軽減し音質や画質を改善させるために数多く導入されました。

その後SINANOはオーディオ向けの電源機器の販売を縮小してしまい(現在でも特注体制で発売を行っている)、voltampereのGPC-Tが発売され、現在はアップグレードモデルのGPC-TQを販売しています。(GPC-TQの開発経緯については、下記の「GPC-TQ物語」にて有限会社ボルトアンペア 宮寺氏が詳しく説明していますので、ご覧ください)

今回はレコーディングエンジニアの森田良紀様に、実際の録音作業でGPC-TQをチェックしていただき、ご感想を伺いました。


Volt Ampere
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音色に対して効果的な変化をもたらし安心感がある!

森田様 「ボーカルレコーディングでマイクプリアンプとコンプレッサー、ADコンバーターに使用してみました。最初GPC-TQを使わずに聴いていて、もう少し音に存在感と太さが欲しいということになりました。そこでこの一連の機材の電源をGPC-TQから供給し聴いてみたところ、まずS/Nが向上したお陰で声の存在感が増しクリアに聴こえると共に、ローエンドの量感も増し、求めていた効果をはっきり感じました。」

「今までも他社のレギュレーターなどを試すことがありまして、それはS/Nの改善は多少ありますが、GPC-TQのように音色に対して効果的な変化をもたらす電源のアイテムはありませんでした。また電源に起因するノイズを効果的に軽減してくれるので、スタジオの機材すべてに使用し、安心感を得たいと思いました。」


GPC-TQ 2段掛け(直列接続)の効果

ボルトアンペア代表の宮寺さんから、GPC-TQの使い方のひとつとして複数台を直列で繋ぐとまた効果があるとご紹介をいただき(あるGPC-TQユーザーの方は自宅オーディオシステム用に3台を直列に使われていて、パワーアンプを1段目に繋いで、2段目にはCDトランスポート、3段目にはDAコンバーターとプリアンプと分けて使うと格段に良くなったとのこと)、後日宮寺さんを交えて改めてスタジオで森田様に試していただきました。

今回は確認しやすくするため、モニタースピーカーのパワーアンプのみGPC-TQに繋いでチェックしていただきました。

森田様 「1台のみと2段掛けで変わりますね。2段掛けは低域の聴こえ方が1台のみよりもさらに量感豊かになり、高域の暴れている部分も無くなり聞きやすくなりました。高域の音色的変化もありましたが、それより低域の出方の変化の方が分かりやすいです。」

宮寺氏 「従来のノイズフィルター機能を持ったパワーディストリビューターなどの製品は2台重ねるとどうしても可聴周波数帯域にフィルターがかかってしまうので、音にベールがかかりコモってしまいますが、GPC-TQは可聴周波数帯域よりも高いところをフィルタリング(高周波数帯域フィルタリングテクノロジー)していますので逆に聴感上開放感が出てきます。ノイズが波だとしたら、堤防のGPC-TQが1台だけより2段掛けにした方が波を小さくできます。GPC-TQには絶縁する効果はないのですが、1台よりは2台を直列に繋いで使った方が絶縁と同じような効果が得られると考えられます。」

森田様 「スピード感は1台のみの方がある印象ですが、逆に2段掛けは量感が出て聴きやすくなります。前者はクリエイティブな作業に使う方、後者は視聴がメインの方などのように、使う人の好みによって分かれると思います。」

「特に自宅で作業をしている人には電源環境によるノイズが気になる事が多いと思いますので、そのノイズのレベルが下げられるのであれば、音を作る側には使うメリットは多分にあると思います。GPC-TQは高級な電源ケーブルなどとは違い『音を良くする』とか『音のキャラクターを求める』という目的だけではなく、ノイズを軽減し安定した電源環境になることによる『安心感を得る』目的で使えると思います。」

宮寺氏 「基本的にSINANOのHSRシリーズやvoltampere GPC-TQはアンプやプレーヤー、レコーダーなどの機器側が性能を発揮できるように『正しいエネルギーを供給する』という考えで作られていて、それによって『音が良くなる』かどうかというのは結果論なんです。」

「このGPC-TQは元になった2UサイズのSINANO GPC-1500を1Uにすることで基板のレイアウトを合理的にして無駄を無くすだけでなく、GPC-1500では2段構成だったチョークコイル2つを1つに纏める構造にしています。そうすることで聴感的に綺麗な感じのGPC-1500に比べて、GPC-TQはより音楽的なメリハリや躍動感が出てきます。」

「更にGPC-TQは120Vへのステップアップ機能も付けていて、保護回路としてブレーカーも備えています。」

森田様 「モニタースピーカーに使うだけでも音が確認しやすくなるし、入力側の機材にも電源環境が改善されることで良い効果が得られるし、120Vの機器にも簡単に対応できるので、自宅で作業で色々迷った時にはGPC-TQを導入してみるのも良いと思います。一家に一台GPC-TQなんていう時代が来ても良いと思います。」









GPC-TQに至る開発の一端をお話していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私は、信濃電気と言う会社で、音響用電源装置 HSRシリーズの営業担当をしていました。

このHSRシリーズは、商用電源の電源波形を整流するタイプのものでした。

具体的には、商用電源の交流を一度、直流にしてノイズ分を取り除いてから再度、綺麗な交流に戻して出力すると言うAC⇒DC⇒ACのコンバータです。


上HSR-510(当時220,000円) 下 HSR-1000R(当時500,000円)


GPC-1500の 誕生まで

1990年代の頃の話ですが、プロオーディオ業界では評価していただきまして、レコーディングスタジオや放送局等に数多く導入されました。

また、ホームオーディオの分野では、特にハイエンドのユーザーに認めていただき販売数を伸ばしていました。

しかしながら、ホームオーディオの分野では、1997年頃からオーディオ用の電源タップが市場に出回り始めて、ホスピタルグレードのレセクタブルを使用した価格の高いタイプが売れるようになりました。

高いと言っても50,000円以内でしたので、従来の家電用電源タップに比べると性能ははるかに向上していましたから、販売量を増やしていました。

必然的にHSRシリーズは価格的に高価になりますので、販売店からは「信濃電気もタップを出せば、売れるのにね。」とよく言われていました。

実は、信濃電気と言う会社は大型電源設備のメーカーでしたから、本業の設備用は20kVA~100kVA以上となり、金額的にも数百万円以上の物件です。

HSRシリーズは、最大で2kVA民生用の超小型電源です。

単純な電源タップを開発しても単に価格の高いだけの全く意味の無い製品になってしまうという懸念を持っていました。

そんな折に信濃電気と某国内最大手のデータ通信会社との製品開発のプロジェクトが進行していました。

その技術担当者が音楽好きで、ご自宅のオーディオも自作されていました。

その開発した技術をオーディオ用電源に使えないかと言う提案を頂きました。

その技術とは、データ通信システムの誤動作のほとんどは電源ラインから混入するノイズによる悪影響なので、そのノイズを取り除くと言うノイズフィルターでした。

ただし、ノイズフィルターにも色々なタイプがあり、このノイズフィルターはコモンモードノイズと言うデータ通信システムの機材から廻り込んでくるアースに起因するノイズを対象にフィルタリングするものでした。

皆さんのお手持ちのデジタル機器の回路図を見ていただければ、各電子回路毎にかなりの数のアースのマークがあることに気づかれると思います。




これは、電子回路にはどうしてもノイズが発生しやすいので、アースを設けてシャーシに逃がしてやるという回路上の構成になっているためです。

しかし、理論上では各回路のノイズをシャーシに逃がして、その筐体から電源ラインのアースに戻すという構成になりますが、実際にはシャーシに至る過程で微小な電位差が起きて、それによって電圧が発生します。

この電圧がノイズとなり、アースラインに混入してコモンモードノイズとなって、各機器に対して悪影響を与えて、誤動作の主たる原因になっているのでした。

これをオーディオ機器に置き換えてみると、同じことが考えられます。

オーディオ、スタジオ機器もデジタル機器が主流です。

また、アナログ機器でもやはり各回路ではシャーシにアースを落としています。

つまり、オーディオ、スタジオ機器の大部分は、コモンモードノイズの影響を受けやすくなっている訳です。

では、コモンモードノイズとはどう言ったノイズなのでしょうか?

今までは、ノイズとは聴こえる音をノイズとして捉えられていました。

コモンモードノイズの成分は、高周波がほとんどで、全く聴こえないノイズなのです。

つまり、聴こえない音、ノイズをフィルタリングすることにより、可聴周波数帯域のノイズを減らそうという製品を開発することになりました。

その製品が、「GPC-1500」(当時100,000円)です。

↑試作機内部

特徴的なのは、二つのチョークコイルです。

直列に並んでいますが、大きさが違うことが判ると思います。

一次側の商用電源からのノイズ対策の為のチョークコイルですが、これも大きさや配列を換えて試行錯誤の上、音質重視で製品の仕様が決定されました。

従来の聴こえるノイズをフィルタリングするのではなく、聴こえないノイズをフィルタリングすることによって、可聴周波数帯域のノイズを低減させて、音楽や映像に影響を与えないという画期的な製品が誕生したのでした。

その後、皆さんもご存じの「電気用品安全法」いわゆる PSEの問題が勃発した訳です。



↑GPC-1500A


電気用品安全法では罰則規定が設けられ、製造者だけではなく販売者も罰せられるということで、販売に関して慎重に対応することが求められました。

当時は、ビンテージ楽器や機材などの販売でも罰せられるということで、大騒ぎになりましたが、業界の一丸となった活動が功を成して、いわゆるビンテージ物に関しては使用、販売が大幅に緩和されたことは、画期的な出来事だと思います。

そうは言っても製造者側はキチンと対応しなければなりませんので、検査機関のJETを通じて判定会議に諮られて、HSRシリーズは「電圧調整器」で、対象外。

しかし、GPC-1500は「その他の差し込み接続器」(電源タップの仲間)という分類になり、特定電気用品としてJETで認証を受けなければならなくなりました。

    

このマークは、検査機関のJETに製品を提出して取得します。

電源に関わるほとんどの製品は、この認証が必要となります。

そのようなことがあり、信濃電気では「GPC-1500」を電気用品安全法に則った製品にするためにモデルチェンジすることになりました。

それが「GPC-1500A」です。

標準価格も100,000円から120,000円にアップした理由はそのコスト増からです。

しかし、その際に「GPC-1500」では、不評だった箇所の改善を実施していました。

入力ケーブルの直出しタイプから、IECのInlet仕様にして電源ケーブル交換が可能になり、接続される電源ケーブルのホスピタルグレードのプラグの大きさに合わせて、出力端子同士の間隔を拡げて、使い勝手の向上を図っていました。

そのため、20,000円標準価格UPでしたが、PSE取得後も販売は好調に推移して行きました。




ボルトアンペアのスタート

その後、私自身は、信濃電気を退社して、2004年5月に㈲ボルトアンペアを立ち上げ、信濃電気の販売代理店としてスタートしています。

平穏な日々でしたが、信濃電気㈱が2006年11月に民事再生法の適用を申請して、同社の事業は、債権債務と設備、従業員を含めて工作機械メーカーの㈱ディスコが、新たに設立した㈱ダイイチコンポーネンツに引き継がれました。

㈱ディスコ http://www.disco.co.jp/jp/index.html

引き継がれてから、しばらくは、現状維持の形で販売を継続していましたが、翌年の2007年5月に最初の価格改定が行われました。

販売する側にとっては、今まで120,000円で販売されていた商品が220,000円に値上がりした訳ですから、堪りません。(現在は、296,000円)

実際、それまでは代理店側から販売予測して、生産を依頼して在庫を持っていたのですが、価格改定後は在庫金額が跳ね上がったため、ユーザーから注文が発生する都度メーカーに発注すると言う形になりました。

そのため、好調に推移していた販売も伸び悩むようになりました。

そこで、この技術の開発者に相談した結果、自社ブランドとしての電源整合器を開発することになりました。

基本的な回路設計を依頼し、トランス、板金、組立ての会社を紹介していただき、生産体制を確立する見通しが出来ましたので、試作機の開発に着手しました。

この商品の一番重要な部材は、先程、お話ししましたようにチョークコイルです。


そして今回は、言葉は悪いのですが、PSEからどうやって逃れるかと言うことも考えて、

信濃電気財政時にお客様から強く要望されていたアメリカ製の機材に対応する機能、出力120Vを上手く追加することにしました。

実際、PSE取得のコストと手間は、馬鹿になりません。

お約束の代々木八幡のJETに足を運んで、ステップアップトランスのPSE、特定電気用品

小型単相変圧器類、その他の家庭機器用変圧器は、500VA以上が対象外と言う回答を得ました。

そうは言っても、商品化の時点では、PSE規格?を守り、耐圧、絶縁抵抗のテストをキチンと実施していますので、ご安心ください。

第一段階では、チョークコイルとステップアップトランス(100V⇒120V)の開発に入りました。

017 (2).JPG 018 (2).JPG 
トランスの試作


黒い物は、EIA2Uサイズ試作機のチョークコイルです。

2Uサイズでは、「GPC-1500A」同じになってしまいますので、何とか1Uに収まらないかと試作を重ねた結果、何とか収まりそうな目途がつきました。

そのため、従来の概念を覆すステップアップトランス搭載のEIA 1Uサイズの「GPC-T」の開発が、やっとスタートしました。

外観からは、従来の機能を継承して、パワースイッチにサーキットブレーカーを搭載。

更にアナログ式電流形に代わり、ノイズレスのLED表示の電流形を開発。

001.JPG 
内部の試作

ご覧の通り、トランス、チョークコイルは、結束バンドで、仮留め状態です。

この段階のチョークコイルは、最初の試作機と同じようにするために一つのコイルに直列に二つのコイルとなるように設計変更して、1Uに収めています。

この開発は、通信工業業界の特別仕様のトランスを開発、製作しているメーカーにお願いして、製造しています。

2007年の真夏に、最終的なこの試作機を持って、様々な方に評価していただき、最終的に「GO」サインを出して、秋のハイエンドショウ、InterBEEに出展しました。

ありがたいことに開発費用等の影響で、広告宣伝などの費用まで手が回らなかったにも関わらず、予約など頂き何とか量産体制に入り、2008年1月からの販売にこぎつけました。

GPC-T.tif

そして2011年1月、「GPC-T」のブラッシュアップ版「GPC-TQ」を発売いたしました。

変更点としては、チョークコイル、トランスのコアを固定しているボルト、ワッシャー、ナットを鉄製からポリカーボネート製にしました。

出来る限りコイルの共振を抑えることと非磁性体を使うことによる聴感上のSNの向上を目指しています。

また、同じ効果を狙って、天板を鉄製からアルミ製に変えています。

更に入力コンセントを一般的なニコオン製から楽器のPhoneプラグでお馴染みのSwitch Craft社のEAC309に変更と小規模ですが、音質が向上するように改良しています。

トランスコア樹脂ボルト.tif 
ポリカーボネート製ボルト


GPC-TQ_RightSide.tif

天板に回路のイメージ図をデザインしてみました。

フロントパネルもレイアウトの変更はありませんが、シンプルなデザインを目指しています。

GPC-TQ_Rear.tif

現状は、単一機種構成ですが、出来るだけ皆様のニーズにお応えできるようにしていきたいと考えていますので、今後に御期待下さい。



2012年9月4日




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